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SBB Re6/6(ROCO 63731) [スイスの機関車]
スイス国鉄の客貨両用電気機関車です。機関車名は登場時はRe6/6(6/6は、車輪が6軸あって6軸駆動の意味)となっていましたが、称号改正にもとなって現在はRe620となっています。欧州の機関車では珍しい3台車方式(日本のEF66などと同じB-B-Bの台車配置)の機関車で、スイスやドイツなどの機関車に多い台車上部が車体の裾に隠れるスタイルになっています。
スイスの町の名前が機関車ごとに付与されており、この模型の11674号機はムルゲンタールで、その紋章が描かれています。実機の製造を担当したSLM(車体)とBBC(電装)の銘版が車体の裾部に見えます。機関車ですが側面に大きな窓があり、中に見える機器類が模型でも表現されています。
ボディーカラーは、登場時は他のスイスの機関車と同じく濃緑色でしたが、1980年代以降にこの模型の様な赤色に変更されており、現在はSBB-Cargo所属機など新たなボディーカラーが登場しています。個人的には、この赤色が気にいっています。
模型の世界では人気の機関車の様で、このROCO製以外にLemaco(真鍮製)、HAG、Märklin/TRIX(ダイキャスト製)があります。NゲージではKATOが、輸出仕様になりますが、1985年ごろから現在に至るまで改良を重ねて生産を続けています。
実機の車体長が20mほどあるので、模型でも堂々とした雰囲気のある機関車です。
Amtrak AEM-7 #901 Phase-III(ATLAS #85711) [アメリカの機関車]
Amtrak(全米鉄道旅客公社)で、ほぼ唯一の自社路線かつ電化路線である北東回廊線で活躍した電気機関車AEM-7です。老朽化の進む旧ペンシルバニア鉄道のGG-1と、その後継機でありながら失敗に終わったE60の置き換え用に登場した機関車です。GG-1やE60の半分くらいの大きさの機関車がきびきび走る姿から、アニメのキャラクターになぞらえて、登場時はマイティーマウスと呼ばれた様です。
当時のアメリカでは、旅客用電気機関車を新たに開発する技術が失われていたのかもしれません。1976~1977年にかけてヨーロッパの最新電気機関車(フランスとスウエーデン)を借り入れてテストをおこない、軍配のあがったスウエーデン国鉄Rc4(ASEA製)をベースに開発されています。
ステンレス車体は米国Budd製、主要電装機器はASEA製、それをEMD(ゼネラルモーターズ)の工場で組み立てています。Amtrakも、E60の失敗でGE(ゼネラルエレクトリック)を敬遠したのか、電気機関車をほとんど作っていなかったEMDに発注しています。MARC(メリーランド交通局)、SEPTA(南東ペンシルベニア交通局)でも色違いの同型機が導入されています。
写真をよく見て頂くと、左側の台車、その右横に金色の鐘がぶらさがっています。模型ではダミーですが、駅での発車・入線時や駅を通過するときの警報として「カンカンカン・・・」と踏切の様な連打音を発します。動画投稿サイトなどで、その音を確認することができます。
実機の登場は1978年ですが、HOゲージの模型が登場したのは20年以上過ぎてからです。アムフリート客車は先に手に入れていたので、待ちわびていた製品がようやく登場したという感じでした。ご存知の様にアメリカはディーゼル機関車大国なので、模型のニーズもディーゼル機関車が中心になるのでしょう。
この模型はパンタグラフのギミックがすばらしいです。ロックのツメなどがなく、部品のバネ性とテコの原理で、持ち上げると上昇したまま、下げるとたたんだままの状態をキープする様になっています。色違いのPhase-IVスキームの製品も発売されていますが、個人的にはこのPhase-IIIの色目が気に入っています。
この機関車登場と前後して、Amtrakも客車の塗色をオランダ国旗の様な赤白青の等幅ストライプ(Phase-III)に改めています。
PRR GG-1 #4856(IHC M9656) [アメリカの機関車]
世界的にも有名な、ペンシルバニア鉄道(PRR)の交流電気機関車GG-1です。
模型の写真ではわかりにくいですが、車体寸法だけでもマンモス級です。写真の運転室のドアに注目して下さい。ドアから長い梯子が伸びています。実際の寸法を書くと、車体長24.3m、車体高(パンタ折り畳み高さ)4.57m、車幅3.15m。100系新幹線の2階建車輌と、ほぼ同じ大きさになります。運転手さんは長い梯子を上って、2階の位置にある運転室に入っていたのでしょう。
ペンシルバニア鉄道は架線高さが7mほどあるので、たたんであるパンタグラフが小型乗用車1台分くらいの大きさになります。
GG-1の登場は1934年(日本のEF55が1936年)、しかも交流電気機関車です。当時、世界最大の鉄道会社だったペンシルバニア鉄道の豊富な資金力と、ボールドウィン、ウエスチングハウス、ゼネラル・エレクトリックといった当時の機関車・電装メーカーの技術力をもって開発されたのでしょう。ステンレス製のプルマン客車を20輌ほど牽引して、最高速度160km/hでニューヨーク~ワシントン間を3時間ほどで駆け抜けていたというのですから驚きです。
踏切事故から乗員を守るためのセンターキャブ、その視界を確保しながら優美な曲面とストライプ塗装でまとめ上げられたボディーの造形。まだ日本には工業デザインという言葉さえ存在しなかった時代に、工業デザイナーのレイモンド・ローウィー(日本ではタバコのピースのパッケージデザインで有名です)が、監修したことでも知られています。
登場から40年以上、アメリカの旅客鉄道の黄金期から落日、そしてAmtrak発足までを走り続けたので、塗色だけでも10種類以上あります。個人的にはこのタスカンレッド(赤茶色)+5本ストライプのPRRの初期塗装が気にいっています。
この模型はIHC製。2000年ごろに個人輸入したものになります。当時は日本の模型店でも輸入されていて、キャノン製モーターへの交換サービスもおこなわれていた様です。
GG-1のHOモデルは古くはリバロッシ製が、最近になってブロードウェイリミテッドやメルクリン/TRIXが、すぐれた製品を発売しています(Nゲージでは日本のKATOが発売しています)。私も次は、ダイキャストボディのメルクリン/TRIX製のダークグリーンのモデルを手に入れたいと思っています。
SNCF CC40108(Märklin 39401) [フランスの機関車]
SNCF(フランス国鉄)の4電源対応電気機関車です。
フランス・ベルギー・オランダ・ドイツを結ぶTEEの牽引機として10輌がアルストームにて製造されています。カラーリングの異なる兄弟機にSNCB(ベルギー国鉄)の18形電気機関車があります。4国の異なる架線電圧・周波数に対応した機器を搭載したため全長22mのマンモス機関車となり、軸重の制約からオランダ・ドイツへの入線がかなわなかった悲運の機関車でもあります。
日本ではゲンコツと呼ばれる特徴的な前頭デザインは、さらに精錬されてCC6500・BB15000といった1970年代のフランス国鉄を代表する機関車に受け継がれています。
シングルアームパングラフも4電源に対応して4つ搭載しています。交流用と直流用で異なる形状のパンタグラフも、模型ではしっかりと再現されています。
ボディーは登場時の銀色メタリック塗装になっていますが、乗用車の様なワックス掛けができない鉄道車輌では耐候性に難があった様で、後年にべトン(セメント)と呼ばれるライトグレーの塗装に改められています。同様のメタリック塗装だったCC6500やグランコンフォート客車もべトンに改められています。
CC40100やCC6500といったフランス国鉄を代表する電気機関車は、模型の世界では何故か蚊帳の外という感じで、リマやジョエフのトイライクな製品が1970年代に登場したあと、40年近く新製品が出ない状況が続いていましたが、最近になってハイグレードな製品がこのメルクリンを始め数社から発売される様になりました。
このメルクリンの機関車は、ダイキャストボディーと車体の長さも相まって、手に持つとズシリと重いです。
メルクリン/TRIXからは、この機関車が牽引したステンレスボディーのPBA型客車(PBAはパリ・ブリュッセル・アムステルダムの意味)も同時に発売されています。別の機会に紹介したいと思います。
DB Lufthansa Airport Express (FLEISCHMANN 5677・5678・5679) [ドイツの客車]
前回投稿した「DB E103.1-101」と同様に、Lufthansa Airport Express が1991年から高速新線経由で運行するのにあたって登場した客車です。
Eurofima系客車からの改造車ですが200km/h走行となるため、Bpmz296は固定窓化や気密構造の貫通ホロへの交換などの対策がなされています。3両編成で定員は120名程なので、当時の国内短距離路線で活躍していたボーイング737やマクドネル・ダグラスDC-9と同程度の雰囲気です。
Avmz106(Avmz107からの改造車):予備車を含めて3両が改造されました。車体両端側のコンパートメント2つをつぶして、機内食用のギャレーとラゲッジルームが設けられています。台車は電磁吸着ブレーキを備え、軸箱支持はモノリンクタイプで枕バネはコイルバネ仕様です。軌道の整備が行き届いているのでしょう、金属バネだけでも快適な乗り心地が得られるのだと思います。
Bpmz296(Bpmz293.2からの改造車):解放室タイプの客車から2編成分4両が改造されました。Avmz106とは窓の間隔が異なります。台車は軸箱が片持ち型のS型ミンデンタイプで、枕バネは車体直結のコイルバネとなっており、Avmz106同様の電磁吸着ブレーキを備えています。
この様にして整備された列車でしたが、運行されたのはわずか2年程で、ちょっと寂しい気持ちになります。
模型は車長28.2cmのショートスケールタイプで、フライシュマン独特の白色で強調された窓枠がルフトハンザ塗装とマッチしていると思います。1/87フルスケールの製品はフライシュマンよりも遅れてロコ(3両セット)が、最近になってピコが独特のディティールが強調された製品を発売しています。
個人的な感覚ですが、DBの客車は1/87フルスケールよりも28.2cmのショートスケールのほうが雰囲気が出ている様な気がします。私の入手した模型だけのエラーかもしれないのですが、行先のサボはAvmz106のみに印刷されていて、何故かBpmz106は2両ともボディー色のままになっています。
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